遺産分割の方法と手続きガイド
遺産分割とは
遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)が残した遺産を、各相続人の間で具体的に分配する手続きのことです。相続が開始すると、遺産は相続人全員の「共有状態」となります。この共有状態を解消し、誰がどの財産をどれだけ取得するかを確定させるのが遺産分割です。
民法では、遺産分割の方法について以下の優先順位を定めています。まず、被相続人の遺言がある場合はそれに従います(指定分割)。遺言がない場合、または遺言で指定されていない財産がある場合は、相続人全員による協議で分割方法を決めます(協議分割)。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判によって分割が行われます。
遺産分割は相続手続きの中でも特にトラブルが発生しやすい場面です。家庭裁判所の司法統計によると、遺産分割に関する調停・審判事件は年間1万件以上にのぼり、その約3割が遺産額5,000万円以下のケースです。遺産の多寡に関わらず、適切な知識を持って手続きを進めることが重要です。
ℹ 遺産分割の3つの方法
- 指定分割:遺言書による分割(最優先)
- 協議分割:相続人全員の話し合いによる分割
- 調停・審判分割:家庭裁判所を通じた分割
4つの分割方法
遺産の具体的な分け方には、以下の4つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、遺産の内容や相続人の希望に応じて最適な方法を選択します。実務では、複数の方法を組み合わせて分割するケースが一般的です。
現物分割
現物分割とは、遺産をそのままの形で各相続人に分配する方法です。たとえば「自宅は長男、預貯金は次男、株式は三男」というように、個々の財産をそれぞれの相続人に割り当てます。最もシンプルな方法ですが、各相続人の取得額に不均衡が生じやすいというデメリットがあります。
代償分割
代償分割とは、特定の相続人が遺産の現物を取得する代わりに、他の相続人に対して金銭(代償金)を支払う方法です。たとえば、自宅を長男が取得し、その代わりに長男が次男に代償金を支払うケースです。不動産など分割が困難な財産がある場合に有効ですが、代償金を支払う資力が必要です。
換価分割
換価分割とは、遺産を売却して現金化し、その代金を相続人間で分配する方法です。不動産や有価証券など、現物のままでは公平に分割しにくい財産がある場合に適しています。公平な分割が可能ですが、売却に伴う譲渡所得税や仲介手数料などのコストが発生します。
共有分割
共有分割とは、遺産を相続人全員の共有とする方法です。たとえば、不動産を相続人3人の各3分の1の共有持分とするケースです。暫定的な解決策としては有効ですが、将来の売却や管理で全員の同意が必要となるため、長期的にはトラブルの原因になることが多く、一般的にはあまり推奨されません。
| 分割方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 現物分割 | 手続きがシンプル | 取得額の不均衡が生じやすい |
| 代償分割 | 特定の財産を維持できる | 代償金の支払い資力が必要 |
| 換価分割 | 公平な分割が可能 | 売却コスト・譲渡所得税が発生 |
| 共有分割 | 当面の解決が容易 | 将来的にトラブルの原因になりやすい |
遺産分割の流れ
遺産分割は、以下のような流れで進めていきます。各ステップを丁寧に行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
- 相続人の確定:被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)を取得し、法定相続人を確定します。
- 遺産の調査・確定:預貯金、不動産、有価証券、負債など、遺産の全容を調査して財産目録を作成します。
- 遺言書の有無の確認:公正証書遺言は公証役場で検索可能です。自筆証書遺言は家庭裁判所での検認が必要です。
- 遺産分割協議:相続人全員で話し合い、分割方法を決定します。
- 遺産分割協議書の作成:合意内容を書面にまとめ、全員が署名・実印で押印します。
- 名義変更・相続登記:協議書に基づき、不動産の相続登記や預貯金の名義変更を行います。
⚠ 相続登記の義務化について
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記を行わないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。過去の相続で未登記の不動産がある場合も対象となりますので、早めの対応が必要です。
遺産分割計算ツール
遺産総額・配偶者の有無・子供の人数を入力すると、法定相続分に基づく各相続人の取得額を自動計算します。
配偶者の有無
配偶者の取得額
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子1人あたりの取得額
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⚠ この計算結果はあくまで概算です。正確な金額は税理士にご相談ください。税制改正により計算方法が変更される場合があります。
遺産分割 — 記事一覧
遺産分割に関する詳しい解説記事をご用意しています。各テーマを深掘りして理解を深めましょう。