相続税の納付方法と延納・物納制度
相続税の納付期限
相続税の納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。これは相続税の申告期限と同日であり、申告と納付を同時に行う必要があります。
例えば、被相続人が1月15日に亡くなった場合、納付期限は同年の11月15日となります。期限が土日祝日に当たる場合は、翌営業日が期限となります。
⚠ 納付期限を過ぎると
期限までに納付しない場合、延滞税が発生します。さらに、督促状の発送後も納付がない場合は、財産の差し押さえなどの滞納処分が行われる可能性があります。納付が困難な場合は、期限前に延納や物納の申請を行いましょう。
相続税の納付方法
相続税の納付には、以下の方法があります。それぞれの特徴を理解して、最適な方法を選びましょう。
| 納付方法 | 利用可能額 | 手数料 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 金融機関の窓口 | 上限なし | 無料 | 納付書を持参して納付 |
| 税務署の窓口 | 上限なし | 無料 | 所轄税務署で直接納付 |
| コンビニ納付 | 30万円以下 | 無料 | QRコード付納付書が必要 |
| クレジットカード | 1,000万円未満 | 決済手数料あり | 国税クレジットカードお支払いサイト利用 |
| ダイレクト納付 | 上限なし | 無料 | e-Tax利用・事前届出必要 |
| インターネットバンキング | 上限なし | 金融機関による | e-Tax利用 |
金融機関での窓口納付
最も一般的な方法は、金融機関の窓口で納付書を使って納付する方法です。銀行、信用金庫、郵便局などの窓口で取り扱っています。納付書は税務署で入手でき、金額を記載して現金またはキャッシュカードで支払います。高額な相続税を一度に納付する場合は、事前に金融機関に振込限度額を確認しておきましょう。
電子納税(e-Tax)
e-Taxを利用したダイレクト納付やインターネットバンキングでの納付も可能です。自宅やオフィスからオンラインで手続きが完了するため、多忙な方にとって便利な方法です。ただし、事前にe-Taxの利用登録とダイレクト納付の届出が必要です。
延納制度
相続税を一括で納付することが困難な場合、延納制度を利用して分割払いにすることができます。延納は最長20年間にわたって年賦で納付する制度です。
延納の要件
- 1
相続税額が10万円を超えること
相続税額が10万円以下の場合は、延納を申請することができません。
- 2
金銭一括納付が困難な金額の範囲内であること
延納が認められるのは、納期限までに金銭で一括納付することが困難な金額に限られます。
- 3
担保を提供すること
延納税額が100万円以下かつ延納期間が3年以下の場合を除き、担保の提供が必要です。国債、不動産、有価証券などが担保として認められます。
- 4
申告期限までに延納申請書を提出すること
延納を希望する場合は、相続税の申告期限までに延納申請書と担保提供関係書類を税務署に提出する必要があります。
延納の利子税
延納を利用する場合、延納税額に対して利子税が発生します。利子税の割合は、相続財産に占める不動産等の割合によって異なります。不動産等の割合が75%以上の場合、不動産等に対応する部分は年3.6%、それ以外の部分は年5.4%が基準となります。ただし、特例基準割合によって実際の利率は変動します。
💡 延納と銀行融資の比較
延納の利子税率が銀行の融資金利より高い場合、銀行からの借入で一括納付した方が有利なケースもあります。延納を申請する前に、金融機関の融資条件も確認することをお勧めします。
物納制度
延納によっても金銭で納付することが困難な場合に限り、相続財産そのもので相続税を納付する物納制度を利用できます。物納は延納の次の手段として位置づけられています。
物納に充てることができる財産
物納には充当できる財産の順位が定められています。
| 順位 | 財産の種類 | 具体例 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 国債・地方債・不動産・船舶 | 土地、建物、マンション等 |
| 第2順位 | 社債・株式・証券投資信託等 | 上場株式、投資信託受益権等 |
| 第3順位 | 動産 | 自動車、貴金属、美術品等 |
物納に充てる財産は、管理処分不適格財産(抵当権付き不動産など)に該当しないことが必要です。また、物納は収納価額(相続税評価額)で充当されるため、時価と乖離がある場合は注意が必要です。
延滞税について
相続税を期限までに納付しなかった場合、延滞税が課されます。延滞税は法定納期限の翌日から完納の日までの期間に応じて計算されます。
国税通則法の本則では「2ヶ月以内 年7.3%/2ヶ月超 年14.6%」と定められていますが、 実際には市中金利に連動する延滞税特例基準割合にもとづく特例税率が毎年適用されており、 本則の税率が適用されることは事実上ありません。
| 適用される年 | 納期限の翌日から2ヶ月以内 | 2ヶ月を経過した日以後 |
|---|---|---|
| 令和8年(2026年) | 年2.8% | 年9.1% |
| 令和7年(2025年) | 年2.4% | 年8.7% |
| 令和6年(2024年) | 年2.4% | 年8.7% |
| 令和5年(2023年) | 年2.4% | 年8.7% |
延滞税は本税に対してのみ課され、加算税に対しては課されません。また、延滞税には1万円未満の端数切捨てなどの計算上の特例があります。早期に納付すれば延滞税を最小限に抑えることができるため、納付が遅れた場合でもできるだけ早く納付しましょう。
延滞税がいくらになるか計算する
法定納期限と納付日を入力するだけで、令和8年の特例税率にもとづいた延滞税額を自動計算できます。 年をまたぐ場合の税率の切り替えにも対応しています。
相続税の延滞税計算ツールを使う →